fc2ブログ

feel

アート、演劇、食べること。とにかく感じることが好き。観て、食べて、感じたものを徒然にご紹介
0

スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』

博多座で公演中のスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』を観に行ってきました。

wannpitirasi.png

ザクッと総括すると、ほんとに驚かされたし、楽しかった!
では、以下細かく。
*****

生でスーパー歌舞伎を観るのは初めてで、しかも漫画の『ワンピース』を歌舞伎化するなんて一体どんな風になっているのだろうと、好奇心と高揚感が混じった不思議な気持ちで博多座へ。

IMG_0621.jpg
博多座エントランスには大きな垂れ幕が。

だって、『ワンピース』って言ったら、腕がびょーんって伸びたり、登場人物たちも人間離れしてるし。
どういう風に歌舞伎になるのっていうか、そもそもアレを舞台化するのって出来るの!?って。

てなわけで、観劇開始!

IMG_8348.jpg

今回の舞台で演じられるのは、原作の51巻~60巻で描かれている“頂上決戦”のお話し。
「漫画読んでないし、51巻からの話をいきなり観てもわからないんじゃない?」っていう人のために、一幕目は物語の背景を紹介するような内容かな。
プロローグ的な位置づけで、全体の助走的な役割を果たす幕。

その中で、一際目に留まったのは坂東巳之助さん演じる三刀流の剣の達人・ゾロ。
出番は少ないのよ。
でもでも、存在感が大きい!
漫画と同じく、両手に一本ずつ刀を持ち、口に最後の一本を咥えてる。
想像するだけで、頬の筋肉がプルプル…。

そんな普通の人間としては相当無理をしている構えであるのに、
立ち回りでは体を大きく動かしながらの見事な太刀さばきを披露。
…かっこいい♡
ドスが利いた声もかっこいい(あんまり喋らないけど)。

そして休憩をはさみ、二幕目、三幕目と進むわけですが、
そこからがスーパー歌舞伎の本領発揮!

まず、映像の使い方がうまい。
プロジェクションマッピングを使ってるんですよ。
しかもね、しかもね、舞台上だけじゃないの!
横に目をやると二階のバルコニー席に沿って映像が映し出されているし、
見上げると天井の枠にそっても映像が。
すごい。これ、ちゃんと博多座客席に合わせてプログラミングされてある。

たまに街中で観るプロジェクションマッピングって、
平面に映してる普通の映像と変わらんのじゃない?ってことあるけど
これは全然違う。

自分たちがいる客席を囲むように映し出される映像が
お芝居の内容に合わせて動くから、自分たちもお芝居の世界に入ったような感覚になる!
これこそ、プロジェクションマッピングの醍醐味だよね。
やばい。楽しい。

演出の派手さはそれだけじゃないのよ。
とあるシーンでは舞台上に滝が出現(ほんとは波)!
それが半端ない水量なのですよ。
10トンあるらしいですばい。
いや、ほんと滝ですよ。大袈裟じゃなくて。
効果音なんてなくても水の「シャア―――――ッ」て音が会場中に響き渡るし、
舞台にはどんどん水がたまっていくし。
その上で俳優さんたちが派手に立ち回るから、その度に水しぶきが派手に上がること。
(いや、水しぶきって言えないくらいの量だな)

ふと客席を観ると、前の方の席の方は配布されたであろうビニールシートでしっかり防水。
スプラッシュマウンテンみたい。


そして、話題になっていた猿之助さんの宙乗り。
もう観客席の盛り上がること、盛り上がること!
すごいよ。
ミュージカルの『ライオンキング』で動物たちが客席に現れたとき以上に
みんなのテンションが高まってるの!

他にも色々あるんだけど、この舞台の何がすごいって
これだけ派手な演出が盛り込まれてるのに、しんみりさせるところはきちんと泣かせる。
その緩急さ。

そして、上記にあげたような派手演出に負けないくらい、
歌舞伎の見得や立てをかっこよく盛り込んでいる。
演出を手掛けた市川猿之助さんの、歌舞伎に対する愛情をすごく感じる。

それに、猿之助さんは「若い歌舞伎役者にスーパー歌舞伎には出てもらうことで、あらためて古典の歌舞伎の魅力を知り、これからを盛り立ててほしい」というような想いがあったとのこと。

それは、この舞台に体現されている。
猿之助さんは主役のルフィ役なんだけど、
きっと意図的に目立たせていたのは、さっきあげた若手の巳之助さん。

巳之助さんには、ずっと魅せられっぱなしだったなぁ。
ゾロもそうだけど、すごかったのは二幕目で演じたオカマのボン・クレー。(今回巳之助さんは3役)。

原作のボン・クレーを知ってる人でも、知らない人でも心を持ってかれる。
デフォルメしたオカマっぽさ全開で、登場するだけで皆大爆笑。
あと、声もなんだか酒やけしたみたいなダミ声で、口調まで完璧!
でも、締めるときは締める。
(クールなイメージの巳之助さんがこんなになるなんて、役者さんてすごい)

あぁ楽しかった。
新しい歌舞伎の可能性を観たって気にさせてくれるし、
きっとこれでファンになった人たちが、これからの歌舞伎を応援していくんだろうなって思う。

IMG_6896.jpg
観劇後、こののぼりを見るとなんだか感慨深い。

公演は4月26日まで。
人気公演なので、お早めに。

スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』

スポンサーサイト



該当の記事は見つかりませんでした。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する